【痛みは“脳の誤解”?】ゲートコントロールセオリーが示す本当の原因とは
【痛みは“脳の誤解”?】ゲートコントロールセオリーが示す本当の原因とは

ゲートコントロールセオリー
「その痛み、実は“脳の勘違い”かもしれません。」
こう聞くと、多くの方は戸惑うかもしれません。とくに、慢性的な腰痛や坐骨神経痛、脊柱管狭窄症に苦しんでいる方にとって、「脳の誤解」と言われても納得できないのは当然です。実際に、痛みは日常生活に支障をきたし、仕事や趣味、家族との時間さえも奪っていきます。
では、「痛みは脳が作り出している」という理論に、一体どれほどの信ぴょう性があるのでしょうか?
ゲートコントロールセオリーとは?
1965年、カナダのロナルド・メルザックとパトリック・ウォールによって提唱された「ゲートコントロールセオリー」は、痛みの科学に革新をもたらしました。
この理論では、痛みの信号は脊髄(脊髄後角)にある“ゲート=門”で調整され、脳に届くかどうかが決まるとされています。たとえば、打撲したときに無意識に手でさすって痛みが和らぐのは、「触覚刺激がゲートを閉じ、痛み信号の伝達をブロックする」からだと説明されます。
この考え方は、それまでの「痛み=組織の損傷」という単純な理解を超え、心理状態や注意、ストレスが痛みに影響するという重要な発見を導きました。
本当に「脳の誤解」なのか?
ところが近年、この理論が誤って使われるケースが増えています。
「あなたの痛みは気のせい」「考え方を変えれば治る」――このような説明を受けたことはありませんか?
実際、慢性痛を抱える患者の約68%が「医療者に痛みを軽視された経験がある」と回答したという調査結果(厚労省 慢性疼痛対策研究班 2020年)があります。
ゲートコントロール理論が、痛みを“心理的な問題”として扱いすぎるリスクがあるのです。
たとえば、椎間板ヘルニアで神経根が物理的に圧迫されている方や、関節の変形が進行している方に「それは脳の誤解です」と説明してしまうと、構造的な問題を見逃してしまいかねません。
それはまさに「大事なサインを無視してしまう」ことに他なりません。
驚きの事実:すでに理論は“時代遅れ”?
さらに重要なのは、ゲートコントロールセオリー自体がすでに時代遅れになりつつあるという点です。
1990年代以降、痛みの解明はさらに進み、「ニューロマトリックス理論」というより包括的なモデルが登場しました。これは、遺伝的要素・感情・経験など多くの因子が“痛みという体験”に関わっているとする理論で、ゲート理論よりも複雑です。
つまり、痛みは単純にゲートの開け閉めだけでは説明できないというのが、現在の医学的な共通認識になってきているのです。
リスク:ゲート理論に依存する施術の危険性
整体や整骨院のなかには、「ゲートを閉じれば痛みは消える」とうたう施術を行っているところもあります。たしかに一時的に痛みが軽減するケースはありますが、それは根本解決ではありません。
ゲート理論に過度に依存すると、原因が骨格の歪みや筋膜の癒着、神経の圧迫といった身体構造にある場合、その根本的な施術が行われず、長期化・悪化のリスクが高まるのです。
安心してほしい。痛みには“ちゃんとした理由”がある
当院では、ゲートコントロール理論を「ひとつの参考視点」として捉えつつ、筋肉・関節・神経・姿勢のバランスなど“実際の体の状態”を徹底的に分析しています。
「あなたの痛みは気のせいではありません。」
そう断言できるよう、医学的根拠に基づいた丁寧な検査と施術を行っています。
本当に必要なのは、「痛みを消すこと」ではなく「体が発している本当のサインに耳を傾けること」なのです。
まとめ:ゲート理論は万能ではない。だからこそ、体を診る整体が必要
ゲートコントロールセオリーは、痛みの理解を深めた画期的な理論でした。しかし、それだけで全ての痛みを説明することはできません。むしろ、それに頼りすぎることで、本当に必要な施術や検査が遅れるというリスクさえあります。
私たちは、体の構造と機能を正確に評価することこそが、安全で確実な痛み改善への道だと信じています。
どんな痛みでも、あきらめずにご相談ください。私たちは、「あなたの痛みは、ちゃんと体に理由がある」と伝えられる整体です。