【薬では届かない痛みの正体】“空間で伝わる神経”の誤作動とは?
【薬では届かない痛みの正体】“空間で伝わる神経”の誤作動とは?

神経伝達
あなたの痛みがなぜ薬で治らないのか、考えたことはありますか?
その答えの一つが、「非シナプス性拡散性神経伝達(Volume Transmission)」という神経伝達の仕組みにあります。
私たちが一般的に知っている神経伝達は、神経細胞同士が「シナプス」と呼ばれる接続点を通じて、情報をやりとりするというものです。しかしこの非シナプス性伝達では、神経伝達物質が決まったルートを通らず、周囲の空間ににじみ出るように拡散し、広い範囲に影響を与えます。
まるで香水の香りが部屋中に広がるように、痛みや興奮の信号も**本来のターゲットではない神経にも“漏れ伝わる”**のです。
広がる痛み、曖昧になる原因
この現象が厄介なのは、「本当の痛みの原因がどこか分からなくなる」ことです。
例えば腰部の神経が炎症を起こし、そこから痛み物質が非シナプス性に拡散された場合、その影響は腰だけでなく、お尻や足、時には内臓のような場所にまで及ぶことがあります。
MRIやレントゲンでは異常が見つからないのに、症状だけが残る。
そうしたケースの裏には、この「神経伝達の漏れ」が関与している可能性があるのです。
薬では届かない理由
このタイプの神経伝達は、シナプスという「ピンポイントな標的」を持たないため、薬物療法が効きにくいという特徴があります。
痛み止めや抗炎症薬の多くは、シナプスでの化学反応をブロックすることを目的に設計されています。ところが非シナプス性伝達では、伝達物質がシナプスを通らず広く拡散して作用するため、薬が効く「的」が存在しない状態になるのです。
2022年のイギリス・ブリストル大学の神経生理学研究では、非シナプス性拡散が関与する慢性痛のメカニズムにおいて「従来の薬剤では抑制できない領域が存在する」と報告されています。
整体だからできる“空間”へのアプローチ
こうした“漏れ出す神経伝達”に対して、整体では薬とは違うアプローチが可能です。
非シナプス性伝達は、主に神経や筋膜の圧力、血流、組織の歪みによって影響を受けやすいことが分かっています。つまり、空間環境の乱れが伝達異常を招いているのです。
当院では、骨格の歪みを整え、神経の走行ルートにかかるストレスを軽減することで、神経伝達物質の過剰放出や拡散を抑える施術を行っています。特に背骨周辺の筋膜・筋肉の緊張を整えることで、痛みの「元」と「拡がり」の両方にアプローチできます。
また、自律神経系のバランス調整を通じて、過敏になった神経の興奮を鎮めることで、慢性的な痛みの改善にも効果を発揮しています。
結論:線ではなく“空間”で伝わる痛みを知る
「痛み=傷んだ場所」と考えがちですが、非シナプス性拡散性神経伝達の存在は、「痛みは空間的に伝わる」という視点を与えてくれます。
薬で届かないのは、的がズレているからかもしれません。
神経という“空間”のバランスを整えることで、あなたの痛みは本当の意味で改善へと向かうかもしれません。
まずはお気軽にご相談ください。