【たった3時間で姿勢のプロ?】資格ビジネスの裏側とは

2025.07.05

【たった3時間で姿勢のプロ?】資格ビジネスの裏側とは

資格

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「短期間で姿勢のプロに!」「主婦でも簡単、猫背矯正インストラクター資格!」――こうした広告を、最近SNSやネットでよく目にしませんか?

実は今、「姿勢」に関する資格ビジネスが急拡大しています。しかし、その裏にはあまり知られていない驚きの実態が隠されています。

民間資格の9割が、たった数時間で取得できる

2024年の調査によると、日本国内に存在する姿勢関連の資格は150種類以上。そのうち、9割以上が民間団体の認定資格であり、国家資格ではありません。中には、わずか3〜5時間のオンライン講座を受講するだけで「美姿勢インストラクター」や「姿勢コーディネーター」「姿勢診断士」として名乗れる資格も存在します。

こうした資格の多くは、専門学校や大学教育を経たわけではなく、医療や整体の現場経験がゼロのまま活動できてしまうのです。

医学的根拠のない“独自理論”も蔓延

さらに問題なのは、こうした短期資格講座の中には、科学的根拠に乏しい“独自理論”が横行している点です。

たとえば、「骨盤を整えればすべての不調が改善する」といったキャッチコピー。実際のところ、骨盤の歪みだけで肩こり・頭痛・自律神経の不調まで説明するのは医学的に不正確です。

人体の姿勢は、関節・筋肉・神経・筋膜・内臓機能など、さまざまな要因のバランスで成り立っています。解剖学、生理学、運動学の知識なしでは正しい評価も施術も不可能です。

実際に起きているトラブル

国民生活センターの統計によれば、2023年に寄せられた「姿勢矯正サービス」に関する苦情・被害相談は前年比27%増加。なかには、「猫背矯正を受けた直後から腕のしびれが取れない」「インストラクターによる施術で腰痛が悪化した」といった深刻なケースも含まれています。

一部では、「資格者が施術したが実際には整体経験がなかった」というような消費者トラブルも発生しており、信頼性が問われています。

本当の専門家は1000時間以上の研修を積む

我々、医療系国家資格者や高度専門型の整体師は、1000時間以上の解剖学・生理学・専門実習を受けています。

国家資格を取得以降も日々の研鑽を欠かしません。現場での臨床はもちろん、休日にはセミナーを受講し続けます。

つまり、3時間で姿勢の専門家になれるはずがないのです。

姿勢矯正は、人生の質を左右する医療行為に近い

姿勢が悪いことによって引き起こされる問題は、見た目だけにとどまりません。呼吸の浅さ、内臓圧迫、血流障害、ホルモンバランスの乱れ、そして自律神経失調――。これらすべてに影響を与えるのが「姿勢」なのです。

それほど繊細な問題を、数時間の講座で学んだだけの人に任せてしまって良いのでしょうか?

安心できる施術を選ぶために

資格ビジネスの波に飲まれず、信頼できる施術者を選ぶためには、以下のポイントを確認してください。

  • 国家資格(柔道整復師、理学療法士など)を持っている

  • 研修歴や経験年数、解剖学の知識が明記されている

  • 実際に身体を評価してくれる(触診・動作分析など)

姿勢の矯正とは、「姿勢を整えること」ではなく、人生を整えることです。だからこそ、本当に信頼できる専門家を見極めてください。