【筋膜を剥がせば治るは本当か?】整体師が語る意外な盲点
【筋膜を剥がせば治るは本当か?】整体師が語る意外な盲点

筋膜ローラー
はじめに:大流行の筋膜リリース、本当に効果あるの?
最近ではテレビやSNSで「筋膜リリース」がよく紹介されています。フォームローラーでコロコロすれば「筋膜が剥がれて柔らかくなる」といった情報が溢れていますが、本当にそれで痛みや不調は改善するのでしょうか?
整体師の視点から見ると、そこには重大な落とし穴があるのです。
筋膜リリースの誤解
筋膜は簡単に“剥がれる”ものではない
筋膜とは、筋肉を覆うコラーゲン主体の結合組織で、非常に強固で弾力のある構造です。
しかし、市販のローラーや軽いマッサージで筋膜が劇的に変化するというのは、解剖学的にも物理的にも疑問が残ります。
2022年の国際筋膜研究会(FRC)レポートでは、「筋膜リリースによる構造的変化のエビデンスは不十分」と明記されており、一般的に行われているケアは、科学的根拠が乏しいとされているのです。
驚きの研究結果:逆に悪化するケースも
慢性腰痛が悪化したデータに注目
ある臨床研究(2020年・Journal of Bodywork and Movement Therapies)によると、慢性腰痛患者に対して4週間の筋膜リリースを行ったグループでは、疼痛スコアが悪化した割合が16%にのぼったという結果が報告されています。
原因として挙げられているのは、
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炎症を抱えた組織への過剰な圧力刺激
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骨盤や体幹部の不安定性が増したこと
などです。
つまり、筋膜リリースがすべての人に良いとは限らず、症状を悪化させるリスクもあるという事実はあまり知られていません。
「筋膜だけ」に注目することのリスク
痛みの本当の原因を見逃していませんか?
筋膜はあくまで「結果」であり、筋膜の緊張が起こるには関節の歪み・関節機能不全・神経などの根本原因があります。
腰痛だからといって腰の筋膜だけを押しても、原因が関節や神経にある場合は逆効果になります。
また自己流で強く押しすぎると、
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筋繊維の微細損傷
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内出血
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筋出力の低下
などの副作用が出る可能性もあり、特に高齢者や女性にはリスクが高いです。
整体的アプローチのすすめ
本当に必要なのは「筋膜の背景」を整えること
整体では、筋膜だけでなく、
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関節の歪み
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筋肉の連動
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神経の反応
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まで評価し、「なぜ筋膜が緊張しているのか」を見極めてから施術します。
つまり、筋膜リリースは単なる手段の一つに過ぎず、それだけに頼っても改善にはつながらないのです。
まとめ:筋膜リリース神話に惑わされないで
筋膜リリースには一時的な気持ちよさがあるかもしれませんが、原因を無視したアプローチでは、かえって痛みを長引かせる可能性もあるのです。
流行の情報に流されず、体の声に耳を傾けましょう。整体では筋膜も含めた全身調整を重視しており、本当の改善を目指すなら、構造・神経・循環・習慣を見直すことが近道になります。