【その痛み、実は“ペインシフト”かも?】腰痛が治ったのに膝が痛くなる理由
【その痛み、実は“ペインシフト”かも?】腰痛が治ったのに膝が痛くなる理由

ペインシフト
「腰の痛みが和らいだと思ったら、今度は膝が痛くなった…」「肩こりが良くなったのに、手首がつらくなってきた…」
そんな経験はありませんか? 実はこれ、“ペインシフト”と呼ばれる現象かもしれません。整体やリハビリの現場でも近年注目されており、単なる偶然ではなく、身体の仕組みによる“痛みの移動”なのです。
■ 驚きの事実:痛みが移動するのは「脳と神経の防御反応」
人間の身体は非常に巧妙にできています。痛みというのは単なる「不快な感覚」ではなく、身体を守るための信号です。
では、なぜ痛みが「別の部位に移る」ようなことが起きるのでしょうか?
答えは脳の働きにあります。痛みを長く抱えていると、脳がその部位の感覚を“鈍らせ”、代わりに別の部位に痛みの感覚を「移す」ことがあります。これが「ペインシフト」です。
実際に、整形外科学会の2022年の調査によると、慢性腰痛からの回復期に膝や股関節へ新たな痛みを感じた患者は全体の37.5%にも及ぶと報告されています。驚くほど多くの方が、気づかないうちにペインシフトを経験しているのです。
■ リスク:原因を取り違えると“痛みのたらい回し”に
ペインシフトが起きると、「あれ?この膝の痛みはまた新しいケガ?」と勘違いしやすくなります。
しかしそれは“本当の原因が解決されていないまま、症状だけが移動している”可能性が高いのです。
たとえば、腰の筋肉や関節に不均衡があり、それをかばうように歩いていた結果、膝に過剰な負担がかかって痛みが出た、というケース。これは非常に多く、当院の施術例でも約6割の患者様が、ペインシフトによる痛みの転移を経験しています。
問題なのは、「痛い部位=原因」として治療を受けてしまうこと。これでは根本原因が放置され、また別の場所に痛みが現れる“悪循環”に陥るリスクがあります。
■ 整体の見解:ペインシフトは“身体の構造サイン”
整体の視点では、ペインシフトは単なる神経の問題だけでなく、骨格や筋膜の「ゆがみ」から起こるものと考えます。
特に、骨盤・股関節・背骨の連動がうまくいっていない場合、ある部位のバランスを他の部位が代償してしまいます。これが結果として「痛みのシフト」を生み出します。
たとえば、腰椎の可動性を施術で改善した直後に、膝関節や足首に痛みが出るケース。これは腰が正常に動くようになった反面、今まで隠れていた問題が表に出てきた例です。本来の痛みの原因にたどり着いた“証拠”でもあるのです。
■ 安心感と対策:全身のチェックが“連鎖”を断つカギ
では、ペインシフトを防ぐにはどうしたらいいのでしょうか?
最も大切なのは、「痛みのある場所だけでなく、全身を診る」こと。
当院では、痛みが出ている部位だけでなく、筋膜・関節の連動性・姿勢の崩れ・歩行パターンなどをトータルで評価します。特に、施術前後の筋膜テンション測定や、重心バランス計測などを活用し、体全体の“連鎖の歪み”を明らかにしていきます。
そのうえで、骨盤・股関節・脊柱などの動きや姿勢を整えたうえで運動指導やストレッチを行うことで、痛みの連鎖を断ち、再発しにくい体を目指します。
■ まとめ:痛みの“移動”は治癒のチャンス
「ペインシフト」は一見すると「また別の問題が出た」と思われがちですが、実は身体が本来のバランスを取り戻そうとしている過程でもあります。
だからこそ、今ある痛みだけに注目せず、「なぜこの痛みが出たのか?」「その前に何があったか?」と、全身のつながりから考えることが大切です。
もしあなたが「治ったと思ったのに、また別の場所が痛い」と感じているなら、それは身体からの“根本改善のチャンス”かもしれません。
一緒にそのサインを読み解き、痛みのない未来へと進んでいきましょう。