【整体が良い?鍼が良い?】実証データから腰痛治療の選び方
【整体が良い?鍼が良い?】実証データから腰痛治療の選び方

鍼施術
腰痛を抱えたとき、多くの方が迷うのが「鍼が良いのか? 整体が良いのか?」という選択です。
どちらも人気の高い治療法ですが、実際の科学的データやリスクを比較してみると、その違いがはっきり見えてきます。今回は、医学的なエビデンスをもとに、驚きの事実と安心できる選び方をご紹介します。
■ 鍼治療の現実:数字が示す「効果の限界」
鍼治療は、筋肉の緊張をゆるめ血流を促す方法として古くから親しまれています。
しかし近年の研究では、「痛みは一時的に和らぐが、長期的な機能改善は限定的」という結果が多く見られます。
たとえば、慢性腰痛患者を対象とした大規模研究(JAMA, 2017)では、鍼を受けた群の痛み軽減率は偽鍼(プラセボ)よりも約2.3倍高い(オッズ比2.30, 95%CI 1.28–4.13)と報告されました。
一方で、8〜52週間後の長期フォローでは差が消失し、「痛みが戻る」ケースが多いことも分かっています。
さらに保険請求データを見ると、2010年に腰痛患者の0.9%が鍼治療を受けていたのが、2019年には1.6%に増加しています。利用者は増えているものの、「確実に効く治療」とはまだ言い切れないのが現状です。
■ 整体(手技療法+運動)の“数字的な強み”
一方で、整体で行われる手技療法(マニュアルセラピー)や運動療法は、近年の医学研究で高いエビデンスが確認されています。
慢性腰痛を対象としたメタ解析(PubMed, 2018)では、
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痛みの軽減:標準化平均差(SMD)-0.28(95%CI -0.47〜-0.09)
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機能障害の改善:SMD -0.33(95%CI -0.63〜-0.03)
という明確な有意差が報告されました。
また、欧州および日本の腰痛ガイドラインでは、「手技療法+運動+教育」の組み合わせを推奨しています。つまり整体では、
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手技で筋・関節・神経の動きを整える
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運動指導で再発を防ぐ
という“根本改善型”のプロセスが科学的にも裏付けられているのです。
■ 鍼と整体、それぞれのリスクと安心のポイント
鍼治療の注意点
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一時的な出血・内出血・倦怠感が出る場合があります。
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姿勢や動きへの直接的アプローチができないため、**「痛みは取れても再発する」**ことがあります。
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効果に個人差があり、施術者の技術に依存する傾向があります。
整体(手技+運動)の注意点
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強い矯正や無理な手技で筋肉痛・違和感が出ることがあります。
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骨粗しょう症や神経圧迫を伴う方は事前評価が必要です。
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手技のみではなく、セルフケアや生活習慣改善の指導がセットで行われているかが大切です。
■ どちらを選ぶべきか? ― 医学的&安心の結論
データを踏まえると、
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急性期で強い痛みがある場合 → 鍼が一時的な鎮痛に有効。
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慢性化・再発を繰り返す腰痛 → 整体(手技+運動)で「動ける体」を取り戻すのが効果的。
つまり、「鍼で痛みを抑え、整体で根本を整える」という併用型の考え方が、実は最も合理的です。
■ 整体師からのメッセージ
腰痛治療は“どちらが上か”ではなく、“今のあなたの状態に何が合うか”で決まります。
当院では、姿勢・筋力・関節の動きを丁寧に評価し、整体を軸に鍼の効果も活かす統合的アプローチをご提案しています。
一時的な痛みの解消ではなく、「再発しない体」を目指すことが、本当の意味での改善です。

