【FJT(機能的関節調整法)とは?】 痛い場所ではなく「背骨の関節」に着目する考え方を、画像診断の歴史から解説

2026.10.11

【FJT(機能的関節調整法)とは?】 痛い場所ではなく「背骨の関節」に着目する考え方を、画像診断の歴史から解説

FJT

FJT(機能的関節調整法)とは何か。画像と痛みが一致しない理由、関節機能障害、関節神経学、背骨と肋骨を見る理由、施術の流れを詳しく解説します。

この記事でわかること

・FJTとは何か(どんな考え方・技術か)
・画像と痛みが一致しない理由(画像診断の歴史から)
・「関節機能障害」と「関節神経学」の基本
・なぜ、痛い場所ではなく背骨と肋骨を診るのか
・施術の流れと、医療機関を優先すべき危険なサイン

こんにちは。鹿島田・新川崎でからだ骨盤ラボを営んでいる、柔道整復師の渡邊です。

「FJT」という言葉を、ホームページや動画で見かけて、「何のこと?」と思われた方も多いと思います。

この記事では、FJTがどんな理論に基づいた技術なのかを、画像診断の歴史にも触れながら、できるだけ丁寧にご説明します。少し長い記事ですが、「なぜ痛い場所に触れないのか」の理由を知っていただければ幸いです。


■ FJTとは:関節の「機能」に着目する技術

FJT(Functional Joint Therapy/機能的関節調整法)は、関節の機能(動き)に着目して、痛みやしびれ、動かしにくさの背景を探り、関節に働きかける考え方・技術です。

FJTは、理学療法士の増田拓也氏(Physio Lab.)が、20年以上の臨床の中で、効果の得られたものだけを残して体系化してきたものとされています。当院の施術者は、FJTの認定講師として、全国で20人の中の一人です。

FJTの特徴は、次の3点です。

1. 痛みのある場所ではなく、背骨(体幹の関節)に着目する
2. 「形」だけでなく「機能(動き)」を見る
3. 評価と施術を一体にして、変化を確かめながら進める


■ なぜ「痛い場所」を診ないのか:関連痛という考え方

「膝が痛いから膝を診る」。これは自然な発想です。

しかし、痛みを感じる場所と、痛みを生んでいる場所が一致しないことは、実は珍しくありません。

・インフルエンザのかかり始めに、関節の節々が痛む
・心筋梗塞で、奥歯や左肩に痛みが出る

このように、原因のある場所とは別の場所で感じる痛みを「関連痛」といいます。FJTでは、同じことが背骨の関節でも起きていると考えます。

1954年には、Feinsteinらが、医学生などを対象にした実験で、椎間関節に刺激を加えると、麻酔をしていても、手足や体幹に痛みが広がることを報告したとされています。背骨が原因の痛みは、障害のある場所から遠く離れた場所に現れうる、ということです。


■ 画像診断の歴史から見る「画像と痛みの関係」

FJTの考え方の背景には、「画像で見える異常と、痛みは必ずしも一致しない」という医学の知見があります。画像診断の歴史を少し振り返ります。

・〜1960年代:画像診断はレントゲンのみ。腰痛は椎間板が原因とされる考え方が主流でした。
・1970年代:CT検査が導入され、骨の病変の解析は大きく進みましたが、腰痛の手がかりの発見には至りませんでした。
・1990年代:MRIにより、椎間板、神経、靭帯、筋肉などの軟部組織が見えるようになりました。

MRIによって、次のようなことがわかってきました。

・椎間板ヘルニアは、予想を大きく上回る頻度で見つかる
・飛び出した椎間板は、時間が経つと吸収されて小さくなることがある
・椎間板の中心部には、痛みを感じる神経がない

こうした知見から、画像上の変化と、実際の症状は、必ずしも一致しないことが明らかになってきました。

▼ 神経を圧迫しても、痛みが出るとは限らない

もう一つ、よく言われるのが「神経が圧迫されているから痛い」という説明です。

脊椎外科医のIan Macnabは、手術中に正常な神経をつまんでも痛みが出ないことを報告したと紹介されています。また、腰椎の部分には、脊髄の本体はなく、細い馬尾神経が通っています。

さらに、「昨日は痛かったのに、今日はマシ」ということは、よく経験されます。脊柱管が昨日は狭くて、今日は広いのでしょうか。構造の変化だけでは、説明しきれない部分があるのです。

ガイドラインの上でも、腰部脊柱管狭窄症は「腰痛の有無は問わない」という定義に改められた、とされています。

▼ 神経の圧迫で本来出る症状

神経の圧迫が症状の本態である場合は、次のような症状が出ると考えられています。

・反射の減弱・消失
・筋肉の萎縮
・感覚障害
・間欠性跛行
・排尿・排便の障害

当院では、まず、こうした症状がないかを確認します。これらがある場合は、医療機関の受診をお勧めします。


■ 理論① 関節機能障害:レントゲンに写らない「動きの不調」

FJTで中心となるのが関節機能障害です。

関節の「ずれ・引っかかり・動きの範囲の狭さ」など、関節の動きの不調を指します。

・レントゲンやMRIでは、はっきり写らないことがある
・日によって、動作によって、症状に波がある
・痛み止めで、すっきりしないことがある


■ 理論② 関節神経学:関節にはセンサー(受容器)がある

関節には、動きや位置、張力を感じ取る受容器があり、1983年にWykeらによって体系化された「関節神経学」で研究されています。

・受容器にはType I〜IVがあります。
・Type IVは、関節痛に関わる受容器です。通常は働かず、関節包や靭帯に強い張力がかかったときなどに反応します。
・関節には固有の神経(主関節神経・副関節神経)があり、筋肉や皮膚ともつながっているとされています。

この仕組みから、背骨の関節に不調があると、離れた手足に痛みやしびれとして現れることがある、と説明されています。夜間痛や、天気による痛みの変化も、この仕組みで説明できる可能性があります。


■ 理論③ 筋肉の硬さは「結果」であることが多い

「筋肉が硬いから痛い」という説明はよく聞かれます。しかしFJTでは、「痛みがあることで、筋肉が硬くなる」と考えます。

英国の整形外科医James Cyriaxは、「筋の凝りは結果であって、痛みの原因ではない」と述べたとされています。

筋肉が硬くなる理由は、関節を守るための防御反応です。「これ以上動かすと危ない」と判断した体が、周りの筋肉を固めて、動きを止めているのです。

そのため、その筋肉だけを揉んだり、無理に伸ばしたりしても、痛みや関節の不調が残っていれば、症状が戻りやすいことがあります。

「揉むと、その時は楽だが、すぐ戻る」という方には、こうした理由が考えられます。


■ なぜ背骨と肋骨を診るのか

FJTが「見逃されがちな場所」として重視するのが、体幹の関節(背骨+肋骨+骨盤)です。

人の動きの土台となるのが体幹の関節です。そのため、ここに不調があると、次のような運動連鎖が生まれます。

・背骨が曲がる → 骨盤が倒れる → 大腿骨が外向きになる → 膝が曲がる → 膝の痛み
・デスクワークで背骨が曲がる → 頭が前に出る → 首や肩の痛み

「猫背のおばあちゃんは、膝が曲がっていたり、O脚だったりする」というのは、この連鎖の一例です。

また、FJTでは、特に負担のかかりやすい背骨の4か所を、評価の基本軸としています。


■ 施術の流れ

1. 問診:症状、経過、病院での診断、生活の様子を伺います。
2. 危険なサインの確認:医療機関の受診が必要な状態でないかを確認します。
3. 動きの評価:どの動作で症状が出るか、関節の動きに制限や違和感がないかを確認します。評価と施術は一体で、「この検査に引っかかるから、ここを調整する」という流れで進めます。
4. 関節に絞った調整:必要な関節に絞って、1ミリ単位の細かな調整を行います。骨をバキバキと鳴らすような施術ではありません。
5. 再評価:施術前後で、動きや症状の変化を一緒に確認します。
6. セルフケアのご提案:ご自宅で無理なくできることをお伝えします。

結果は、「良くなる」「悪くなる」「変わらない」の3つしかありません。当院では、どの結果になっても、「なぜそうなったのか」を考え、次の評価に活かします。


■ 「痛みを取る」だけでなく「戻りにくくする」

痛みが和らいでも、それで終わりではありません。多くの方が悩まれるのが、「症状の戻り」です。

筋肉が正常に働くには、次の3つの条件が必要だと考えています。

1. 痛みがないこと
2. 関節の動きが正常であること
3. 神経の連絡が正常であること

そのため、FJTでは、まず痛みの原因となる関節を整え、その後に、手足の関節の動きと筋肉の働きを整えるという順序を大切にします。

いきなり運動やストレッチから入ると、動きの悪い関節の代わりに、動きすぎている関節が頑張ってしまい、かえって負担をかけることがあるためです。


■ 一般化した一例

※特定の患者さんの体験ではなく、よくあるお声を一般化したものです。

「画像で異常があると言われた。手術も考えるよう言われて不安」という方が、相談にいらっしゃることがあります。

そうした方の中には、動きを確認すると、背骨や骨盤・股関節の動きが小さくなっていることがあります。関節の動きを整え、日常の動き方を見直す中で、「歩ける距離が伸びた」「動くのが怖くなくなった」と話される方もいます。

ただし、経過には個人差があります。個人の感想であり、成果を保証するものではありません。


■ FJTが向いている方・医療機関を優先すべき方

▼ ご相談いただきたい方

・病院で「異常なし」と言われたが、痛みやしびれが続く
・画像で異常を指摘され、不安がある
・マッサージや整体で、その場は楽でも、戻ってしまう
・手術を勧められ、他にできることを知りたい

▼ 医療機関を優先すべき方

・足に力が入らない、急に脱力した
・排尿・排便がうまくできない、または漏れる
・安静にしていても、夜間も強い痛みが続く
・発熱を伴う腰痛
・転倒や事故のあとの強い痛み
・がんの既往がある

手術が必要かどうかは、医師が診断することです。当院は、手術を否定するものではありません。「手術の前に、できることを知りたい」という方のご相談をお受けしています。


■ よくあるご質問

Q. 痛くないですか?
A. 骨をバキバキと鳴らすような施術ではなく、1ミリ単位の細かな調整で行います。状態に合わせて無理のない範囲で行います。施術中に気になることがあれば、すぐにお伝えください。

Q. 痛い場所に触れないのはなぜですか?
A. 痛みを感じる場所と、原因のある場所が異なることがあるためです。もちろん、必要に応じて痛い場所も確認します。

Q. 骨盤や背骨の「歪み」を矯正するのですか?
A. 「歪みを直す」という考え方ではありません。関節の動き(機能)に着目します。

Q. 何回で良くなりますか?
A. 状態により大きく異なるため、回数や効果をお約束することはできません。初回に状態を確認し、見通しをご説明します。

Q. 病院に通っていても受けられますか?
A. 状態によります。担当の医師の指示がある場合は、それに従ってください。


■ FJTについて、まず知りたい方へ

直接のご相談は、初回体験(90分・1,980円)で承っています。

からだ骨盤ラボ(鹿島田・新川崎)
※効果には個人差があります。症状によっては、医療機関の受診をお勧めする場合があります。

【参考】
・腰痛診療ガイドライン2019(日本整形外科学会・日本腰痛学会 監修)
・腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン2021(日本整形外科学会・日本脊椎脊髄病学会 監修)