鹿島田・新川崎|「筋肉のコリ」だけが腰痛の原因ではない理由

2026.10.29

鹿島田・新川崎|「筋肉のコリ」だけが腰痛の原因ではない理由

■ この記事でわかること
・「筋肉が硬いから腰が痛い」と言われてきた説明の、今のところの研究的な位置づけ
・筋肉由来の腰痛(筋・筋膜性腰痛)と、他の原因による腰痛の見分け方の目安
・すぐに病院を受診すべき危険なサイン
・当院(からだ骨盤ラボ)がFJT(機能的関節調整法)の視点で考えていること
・今日からご自身で試せるセルフケアと、よくあるご質問

■ 結論を先に(要約)
「腰の筋肉が硬いから、揉めば楽になる」というイメージをお持ちの方は多いかもしれません。2026年に更新された手技療法(マッサージ・マニピュレーションなど)に関する大規模レビューでは、手技療法は「何もしない場合」と比べると痛みや動きやすさの改善がみられたものの、運動療法など他の保存的な治療法と比べた場合の差は、全体として大きくはありませんでした。このことは、「筋肉を緩めること」単独では説明しきれない部分が、腰痛にはあるかもしれないことを示しています。当院では、筋肉だけでなく「関節の動き」という視点も合わせて考えることを大切にしています。

■ 原因・特徴

腰の痛みの原因としてよく語られるのが、「筋肉のコリ」「筋膜の硬さ」です。長時間同じ姿勢を続けたり、体を支える筋肉への負担が続いたりすると、筋肉や筋膜に痛み・張りを感じやすくなることがあり、これは「筋・筋膜性腰痛」と呼ばれることがあります。

一方で、腰痛の原因を一つに特定できるケースは実はそれほど多くなく、画像検査などで原因がはっきりしない「非特異的腰痛」が約85%を占めるとされています(日本整形外科学会・日本腰痛学会監修『腰痛診療ガイドライン2019』)。

2026年にCochrane Database of Systematic Reviewsで更新された、慢性腰痛に対する脊椎マニピュレーション(手技療法)のレビュー(76件のランダム化比較試験・11,866人分のデータを統合)では、次のようなことが報告されています。

・手技療法は、「何もしない」場合と比べると、痛み・動きやすさの改善が比較的大きくみられた
・一方、運動療法など他の保存的な治療法と比べると、痛みの差は小さく、動きやすさの改善もやや小さめだった
・深刻な副作用は報告されていないが、研究ごとに手技の内容・回数・対象者が大きく異なり、エビデンスの確実性は「低い〜非常に低い」と評価されている

つまり、「手技療法でまったく変わらない」というわけではありませんが、「筋肉を揉めば根本的に解決する」と言い切れるほどの強い裏付けは、今のところ確認されていないということです。筋肉の硬さは、腰の状態を知る一つの手がかりではあっても、全てを説明するものではないのかもしれません。

■ 見分け方の目安

以下は、あくまで一般的な目安です。自己判断の材料にするのではなく、気になる場合は医療機関・当院にご相談ください。
・特定の筋肉(腰まわり・お尻・太もも裏など)を押すと、ピンポイントで痛み・張りを感じる
・動き始めや長時間同じ姿勢の後に重さを感じるが、少し動くと楽になることがある
・温めたり、ゆっくり動かしたりすると、一時的に軽くなる感じがある
・マッサージやストレッチを受けると楽になるが、数日でまた同じように重くなる

■ 病院を優先すべき危険なサイン
以下のサインがある場合は、整体より先に医療機関を受診してください。
・急に脚に力が入らなくなった
・排尿・排便がうまくできない、感覚がおかしい
・発熱を伴う強い痛みがある
・安静にしていても強い痛みが続く
・転倒や外傷の後に痛みが強くなった
・がんの既往があり、これまでと違う腰の痛みが出てきた

■ 当院の考え方(FJT・関節機能障害の視点)

からだ骨盤ラボでは、「筋肉のコリ」の背景に、関節の動きのクセ(関節機能障害)が関わっている場合があると考えています。関節機能障害とは、関節のわずかなずれ・引っかかり・動きの範囲の狭さのことです。レントゲンやMRIには写りにくく、日によって波があり、痛み止めが効きにくいことがあるのが特徴です。

筋肉・神経・血管・内臓は、手で直接動かすことができませんが、関節は手で直接働きかけられる部分です。関節の動きが悪い状態が続くと、その周りの筋肉が反射的に緊張しやすくなり、「筋肉が硬い」と感じやすくなることがあります。硬くなった筋肉だけをもみほぐしても、根っこにある関節の動きの悪さが残っていれば、しばらくすると同じように硬くなってしまう、ということが起こり得ます。

ただし、これはあくまで当院の臨床上の視点であり、今回ご紹介したレビューは関節機能障害やFJTそのものを直接検証した研究ではありません。手技療法の効果については、まだ研究が重ねられている段階だということを、正直にお伝えしておきたいと思います。

■ 今日からできるセルフケア

・30分〜1時間に1回程度、座りっぱなし・立ちっぱなしを避け、姿勢を変える
・痛みが強く出ない範囲で、ゆっくり腰を前後左右に小さく動かしてみる
・入浴などで体を温め、筋肉の緊張をゆるめる時間をつくる
・「揉んでもすぐ戻る」と感じる場合は、揉む強さや回数を増やすより、動かし方のクセを見直す視点を持ってみる

■ よくあるご質問

Q1. 筋肉のコリは腰痛と関係ないのですか?
A. 関係がないわけではありません。長時間の同じ姿勢などで筋肉に負担がかかると、痛み・張りを感じやすくなります。ただし、筋肉の硬さだけで腰痛の全てを説明できるとは言えず、関節の動きなど他の要因も関わっている場合があります。

Q2. マッサージを受けても良いのでしょうか?
A. 一時的に楽になる方は多くいらっしゃいます。ただし今回ご紹介したレビューでは、手技療法単独の効果は、他の保存的な治療と比べて大きな差ではなかったと報告されています。マッサージを受ける・受けないはご自身の判断ですが、「それだけで根本的に解決する」と考えすぎない方が良いかもしれません。

Q3. 当院では何をしてもらえますか?
A. 関節機能障害の視点からの評価と、生活の中でのセルフケアのアドバイスを行っています。医療機関での診断・治療を代替するものではなく、併用してご相談いただけます。

■ 腰痛セルフケア完全ガイドのご案内

当院公式LINEにご登録いただいた方には、「腰痛セルフケア完全ガイド」のPDFをプレゼントしています。ご自宅でできるセルフケアの考え方をまとめたものです。より詳しくご自身の状態を知りたい方には、初回体験(90分・1,980円)もご用意しています。からだ骨盤ラボ(鹿島田・新川崎)は、柔道整復師によるFJT(機能的関節調整法)の視点で、お一人おひとりの状態に向き合っています。※効果には個人差があります。

■ 参考文献
・de Zoete A, et al. Spinal manipulative therapy for adults with chronic low back pain. Cochrane Database of Systematic Reviews. 2026, Issue 1. CD008112.
・日本整形外科学会・日本腰痛学会(監修)『腰痛診療ガイドライン2019(改訂第2版)』